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上陸特別許可

はじめに
上陸特別許可とは、入管法に定める上陸拒否事由に該当する場合でも、法務大臣が特別に上陸を許可する制度です。

入管法においては、上陸拒否事由を定めています。この事由に該当すれば上陸することはできません。ただし、昨年の入管法の改正(完全施行は3年以内)において、上陸拒否の特例が定められました(入管法5条の2)。

すなわち、上陸拒否事由に該当する場合であっても、相当と認められる事情(省令に規定)があれば、拒否事由に該当することのみをもって拒否しないことになります。上陸拒否事由以外に上陸を拒否する理由が無い場合に、上陸できる可能性があります。上陸の特別許可が必ず得られるわけではありません。

なお、この上陸拒否の特例が考慮される拒否事由は限定されています(オーバーステイ・麻薬・覚醒剤犯罪、その他懲役刑、売春など)。入管法・入管法施行規則(法務省令)で定められた拒否事由以外について特例は適用されません。

▼ 具体的な上陸拒否期間 ▼ 上陸特別許可申請の概要 ▼ 上陸特別許可のための条件
▼ 実務上の戦略・方法 ▼ 訴訟による決着・解決について ▼ 在留特別許可との違い 
▼ 結びにかえて ▼ ご利用いただいた方の声  
 上陸特別許可申請サポート 上陸特別許可 Q&A

具体的な上陸拒否期間

入管法において上陸拒否期間は、定められています。近年の入管法改正で上陸拒否期間が大幅に延長されました。特に2度以上の退去強制者(いわゆるリピーター)に対しては、10年の拒否期間が設定されています。他方で、出国命令により出国した者については、1年の拒否となります。具体的な期間は、次のとおりです。
※上陸拒否期間を経過した場合でも、当然に上陸が認められるわけではありません。

・初めての退去強制者(強制送還・国外追放)…5年
・2度目以上の退去強制者(強制送還・国外追放)…10年
・出国命令により出国した者…1年

※上陸特別許可の申請を考える際に、上陸拒否の期間の長短はあまり関係ありません。5年の拒否期間だから上陸特別許可が下りやすいなどはありません。また、10年の拒否期間だから上陸特別許可が絶望的であるということもありません。2度以上の超過滞在(オーバーステイ)だから諦めるしかないということもありません。このような事情は、あまり大きな問題ではありません。 上陸拒否事由だけで判断する必要は無いと思われます。諦めるには早過ぎます。

上陸特別許可申請の概要

入国審査官から上陸が拒否された場合には、当然に上陸することができません。この後、特別審理官の口頭審理(取調べ)を受けることになります。この審理により上陸拒否事由に該当しない(入国審査官の判断が間違い)と認めた場合には、上陸が許可されます。特別審査官の口頭審理は、入国審査官の上陸拒否の決定がされて、すぐに行われることがほとんどです。

特別審理官にも上陸を拒否された時は3日以内に法務大臣に異議の申立てが出来ます。 大臣が諸般の事情を考慮した結果、上陸を許可する事情ありと認めれば許可されます。大臣が上陸を許可しない場合は退去を命じられます。すなわち、日本に上陸することはできません

特別審理官・法務大臣はあくまでも、この上陸を特別に許可する「相当性」があるか否かについて判断します。「相当性」とは、とても広い意義を有しています。個々の事情により個別の判断がなされます。入国をさせることの必要性も考慮されると推定されます。特に人道的な見地、家族の1人が麻薬・覚せい剤犯罪を犯した為に入国拒否事由に該当するが、日本で家族に会いたいなど事情があれば個別に考慮される可能性もあります。
【上陸拒否事由に該当せず上陸拒否】

【過去に退去強制・国外追放・出国命令を受けた方】

通常、上陸特別許可申請は、こちらの場合を指す事が殆どです。過去に何らかの入管法違反を犯して、退去強制(国外追放)などの処分を受けていて、通常では入国できない場合に、入国管理局に対して、入国を認めるように申請(在留資格認定証明書申請)を行います。

入管法に基づく入国拒否事由に該当する方が事前に在留資格認定証明書の交付を受ける事なく(事前に許可なく)上陸申請しても当然に拒否されます。


※在留資格認定証明書(Certificate of Eligibility)の詳細はコチラ
※審査期間は約3ヶ月
※不許可の場合、不服申立制度なし(取消訴訟提起は可能)

上陸特別許可のための条件

全ての事案について上陸特別許可について行えるわけではありません。必要最低限の条件があります。この条件が揃っていない場合は、そもそも上陸特別許可は無理です。この点は、通常の上陸審査と同様です。すなわち、入管法7条が定める要件を具備している必要があります。

有効な旅券(パスポート)及び査証(ビザ)を有していること
入管法が定める在留資格(27種類)のいずれかに該当すること
入管法の定める在留期間の適合すること
基準省令の適用がある場合は、この基準に該当すること

以上の要件を満たしていない場合は、上陸特別許可を申請(請願)することはできません。これら入管法が定める条件は満たしているが、上陸拒否事由に該当する場合に、特別に上陸許可を申請(請願)することが可能となります。
上陸特別許可申請サポート

実務上の戦略・方法

在留特別許可と異なり、上陸特別許可ガイドラインなどは公表されていません。ただ、この在留特別許可のガイドラインに準じた取扱いが行われているようです。また、入国管理局内部で運用の基準があるらしい。外部に公表されていないので、あくまで推測になります。一定の基準があり、柔軟に対応が行われていると考えられています。

この内部基準は、何度か見直しされているようです。法律に規定されていない実務上の運用など、専門家だからこそ蓄積した経験・体験に基づいて個々の事案にベストな戦略をご提案できることが富山洋一の最大の強みです。

上陸特別許可自体が特別な制度であり、事前に「相当性」についていかに立証できるか否かが勝負です。審査は、書類審査なので立証活動も方法は限られています。少ない方法の中で、十分な立証を行うことが実務上の戦略であり、入管業務のプロとして腕の見せ所です。具体的な戦略などは、面談時などに個々の事情をお伺いしながら、助言させて頂きます。

超過滞在(オーバーステイ)や大麻・覚せい剤などの薬物犯罪で執行猶予中などの事情があっても、身分的な理由(結婚している・子供がいるなど)で日本に上陸したいと考えていらっしゃる方は、上陸特別許可が下りる可能性があります。

執行猶予期間が経過していない場合は、原則として、上陸が認められないようです。執行猶予判決を受けた事情・身分的な事情などをより慎重に精査する必要が生じます。諦める前に富山洋一にご相談ください。ご家族の皆さまの笑顔と明るい日(明日)のために全力を尽くします。

訴訟による決着・解決について

上陸特別許可に限らず、入管行政については、行政当局(入国管理局)には広い裁量が認められます。判例においても、広い裁量を認めています。裁量の範囲を超えて違法となる(取消判決を得る)のは、著しく合理性・相当性を欠いている場合に限定されます。すなわち、入国管理局の決定が取消されるのは、前提事実誤認している場合などに限定されることを意味します。

常に訴訟での解決方法を選択することは、入管行政に対しては最善の方法とは言えません。ただ、事実誤認など明らかな場合は、裁判所に救済を求める必要があると思われます。いかなる事実誤認があるか、慎重に精査する必要があります。最終的には、裁判提起する権利は、誰にでもあります。訴訟提起を止めさせる事はできません。もっとも、裁量の逸脱が認められない場合に提起する事は、時間・費用の無駄となります。裁判で決着するより、入国管理局に対して、再度の申請を行う事が有用な場合が多くあります。

現実問題として、入国管理局は、個別の申請毎に提出された書類について詳細な調査及び検討を行っています。事実誤認について起り得るとは考えにくいと思われます。仮に事実誤認が生じたとすると、提出書類に問題があった場合があると思われます。立証書類が不十分であった、記載事項に虚偽(矛盾点など)があったなど考えられます。本当に入国管理局が事実誤認、裁量権の逸脱が認められるか、検証する必要もあります。この点においても、入管行政に精通している申請取次行政書士に依頼するメリットはあります。


在留特別許可との違い

在留特別許可とは、上陸した後で退去強制事由に該当し、退去強制(強制送還)される場合に、在留出来るように許可を申請するものです。
上陸特別許可とは、上陸が認められない場合に特別に上陸を認めてもらうための申請です。 両者は、上陸した後の申請か、上陸すること自体の申請であるかの違いです。
上陸特別許可申請サポート

結びにかえて

上陸拒否されるか否かは実際に審査されるまで解りません。明らかに拒否事由に該当する場合は予測出来ますが、それ以外でも拒否される可能性もあります。口頭審理には1人の立ち会いが認められています。当事務所の富山洋一は、申請取次資格を有しており、入管業務に精通しています。特別審理官の口頭審理に立ち会い、入管当局の懸念を把握して、しかるべき申請(請願)を行います。特別許可を申請(請願)するに必要なアドバイスを行います。

上陸特別許可を申請するには、時間が限られています。法務大臣に異議申立を行うまで3日の猶予しかありません。時間との勝負となります。事前の準備が不可欠です。上陸を拒否されてから準備を行うと、十分な立証活動を行うことが困難となる可能性があります。もっとも事前の準備段階で勝負が決まっている場合もあります。

難しいと思われる事案でも断らず、あらゆる可能性を探り全力でお力添えさせていただきます。不法入国・大麻・覚せい剤・超過滞在(オーバーステイ)などにより強制送還(国外追放・退去強制)になった方の上陸に関するご相談を多く頂戴します。入管法は複雑であり、法律に詳しく無い方が申請など行うのは困難な点が多くあります。富山洋一にご相談される方は同じような悩みをお持ちです。勇気をもってご相談くださった方の笑顔を取り戻すために全力を尽くします。

また、空港などに出向いて、不測の事態(万が一の拒否等)が生じた場合の対処も行います。 個々の事情により準備する書類・立証活動も異なります。上陸拒否事由に該当している場合で、どうしても日本に入国させたい事情があれば、お気軽にお問合せください。状況をしっかり分析して、必要な助言を致します。諦める前に富山洋一にご相談ください。

当事務所は、一度不許可となった案件・困難な事案について多数のお問合せ、ご相談を頂いています。拒否されたケースも問題点をしかり精査致します。安心してご相談ください。

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