TOPページ> 独禁法による課徴金減免申請

独禁法による課徴金減免申請

【課徴金減免申請とは】
課徴金減免申請制度とは、談合・カルテル(不当な取引制限)などの独占禁止法違反の行為を犯した場合に、公正取引委員会に対し、違反事実を申請・報告したときは、課徴金を免除・減額が認められる制度です(独禁法7条の2第1項)。なお、あくまでも不当な取引制限について適用される制度であり、私的独占の場合については、この課徴金減免の制度は適用されません。

不当な取引制限とは、「事業者が、契約、協定その他何らの名義をもつてするかを問わず、他の事業者と共同して対価を決定し、維持し、若しくは引き上げ、又は数量、技術、製品、設備若しくは取引の相手方を制限する等相互にその事業活動を拘束し、又は遂行することにより、公共の利益に反して、一定の取引分野における競争を実質的に制限すること」を指します(独占禁止法2条6項)。

一般的に、談合などの不当な取引制限は密室において少人数で行われることが多く、また、証拠も残さないことから事実認定・発見をすることが困難です。被害者も存在しないので、摘発などを行うことが容易ではありません。そこで、独禁法違反行為を犯した事業者に違反行為を申告しやすい制度を導入することにより、談合・カルテルなどの違反行為の減少を狙った制度と言えます。

また、いわゆる「自首」した事業者に対して一定の恩恵(課徴金の免除・減額)を与えることにより、独禁法違反行為の発見・調査を行いやすくする側面もあります。また、不当な取引制限の全容解明を行いやすくする趣旨も含んでいます。もっともアメリカなどにおける「司法取引」などと異なり、公正取引委員会の恣意・裁量判断の余地が無く行われる点に特徴があります。

▼ 具体的な免除・減額される割合 ▼ 事前相談制度 
▼ 課徴金減免申請時点での注意点
 ▼ 徴金減免申請実務のポイント

具体的な免除・減額される割合

独占禁止法において、具体的な免除・減額される割合が定められています。独占禁止法違反について申告した事業者の全てについて免除・減額が認められるわけではありません。調査開始日の前後合わせて最大5社となっています。これは、早い者勝ちです。調査開始日より後に申告した事業者については、最大3社となります。

なお、調査開始日前にすでに5社の申告があれば、調査開始日後での申告・減免制度は適用となりません(独禁法7条の2第11項・12項)。免除・減免されるのは、課徴金についてのみです。刑事責任については、対象外となります。 後順位(4位・5位)になると公正取引委員会が認識していない事実を申請・報告しなければ、課徴金減額の対象となりません。タイミングがとても重要です。

調査開始日とは、当該独禁法違反行為に係る事件について、行政調査としての立入検査または犯則調査としての臨検・捜査・差押えが最初に行われた日です。検察当局の捜査・違反行為をした名宛人について調査が開始された日ではありません。なお、これらの立入検査・犯則調査としての臨検・捜査などが行われなかった場合は、公正取引委員会による事前通知を受けた日が調査開始日の基準となります。

※開始日前までに5社の申請があれば、調査開始日後での申請は認められない。
※開始日前の4位・5位、開始日後の申請者(最大3社)については、開始日前の1位〜3位までの申請者が 申告した事実以外の事実(公正取引委員会が認識していない事実)を申請しなければ減額の対象とはなりません(独禁法7条の2第11項3号)。

なお、申請は専用のFAX回線1回線で受け付けるので、順位の混乱などは生じません。FAXで受信した順番に仮の順位が付されます。

事前相談制度

課徴金減免申請を行う前に、公正取引委員会の専門官が事前に相談に乗ってくれる制度もあります。ここでは、具体的に申告した場合の順位や提出する書類について教示がなされます。この事前相談制度は匿名で行うことが可能です。また代理人(行政書士など)が申請を予定している事業者に代わって事前相談を行うことも可能です。

特に申告した場合の順位は申告者にとっては重要な意味を有します。既に5社が申告していれば、減額の恩恵を受けることはできません。具体的な申告を行うか否かを判断する上で重要な意味を有している場合もあります。なお、この事前相談制度を利用して、公正取引委員会に申告した内容だけでその後の具体的な捜査が開始されることは無いと言われています。

課徴金減免申請時点での注意点

免除・減額が認められる順位であつたとしても、次の事柄が発覚した場合には、減免の恩恵が受けられなくなります(独禁法7条の2第17項)。申請する際には、十分な注意が必要と言えます。申請する前に、しっかりと事実関係・関係者の聴取・証拠検証などの事実把握を行う必要があります。

事業者が行った当該報告又は提出した当該資料に虚偽の内容が含まれていたこと。
事業者が求められた報告若しくは資料の提出をせず、又は虚偽の報告若しくは資料の提出をしたこと。
事業者がした当該違反行為に係る事件において、当該事業者が他の事業者に対し違反行為をすることを強要し、又は当該違反行為をやめることを妨害していたこと。

徴金減免申請実務のポイント

課徴金減免申請を行うには、スピート感が大切です。申請すると秘匿義務が生じます。すなわち、申請したことを第三者に言うことはできません。談合仲間で既に申請している事業者がいても知ることは不可能です。特に恩恵が認められるのが最大5社であることを考えれば、いかに迅速に申請することができるかがポイントになります。

課徴金減免申請が可能だったにも関わらず、申請を行わなかったことにより多額の課徴金を支払うことになった場合に、株主から取締役に対して、株主代表訴訟が提起される可能性もあります。課徴金の最高額は約80億円です。もっとも恩恵が認められない場合もあるので、事実確認・当事者の聞き取りなどを早急に行う必要があることは想像するに難くありません。

一度申請を行うと、調査に協力する義務も生じます。また、提出する書類を詳細に作成する必要があります。この提出期間は10日から20日となっており、時間との戦いとなります。事前に一定の準備を行うことが必須です。

富山綜合法務事務所は、課徴金減免申請を行う数少ない事務所です。限られた時間の中で、課徴金減免申請に必要な準備を行います。申請した後に公正取引委員会に提出する書類も正確かつ迅速に作成します。 実際、公正取引委員会に課徴金減免申請された数は、年間200件を超えています。数多くの企業が利用し、現実に減額の恩恵を受けています。独占禁止法違反を犯したが、課徴金減額申請を行うことをお考えの事業者様は、お気軽にご相談ください。

この課徴金減免申請については、完全予約制で面談による御相談のみとさせて頂きます。電話での御相談は受付けておりません。お問合せは電話・メールでもお受け致します。ご理解をお願いします。

上へ