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国際離婚

結婚があれば、残念ながら離婚の問題も生じます。この場合に日本法が直接に適用されることは無く、やはり如何なる法律・手続きが適用されるのか問題となります。 この点については、「法の適用に関する通則法」が定めています。

▼ 離婚に関する適用法 ▼ 離婚に伴う慰謝料 ▼ 外国の離婚判決の効力 
▼ 子供の親権問題、面接交渉権 ▼ 慰謝料の問題 ▼ 内縁に関する問題

離婚に関する適用法

「法の適用に関する通則法」の27条によれば、離婚について25条(婚姻の効力)を準用しています。 したがって、第1順位から適用法があるか順次判断することになります。

第1順位:夫婦の同一本国法
第2順位:夫婦の同一常居所地法
第3順位:夫婦の最密接関連法

もっとも、27条のただし書きにおいて、夫婦の一方が日本人で、日本に住所を有してる場合には準拠法は日本法(民法)となる旨の規定があります。 この但し書きの規定と、25条の順位規定の優劣が問題となります。

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何れも無い場合には、この但し書きが適用されます。
すなわち、第2順位までで準拠法が決れば、この但し書きは適用されません。

【裁判例紹介】

日本に在住する米国人夫婦の離婚について、夫婦の本国法として適用する州法が異なるために夫婦の本国法が同一で無いとして、共通常居所地法たる日本法を適用した。
(横浜地裁平成3・10・31)
日本在住のオーストラリア人夫・日本人妻の離婚について日本法が適用。
(東京家庭裁判所平成19・9・11)

【常居所の判断】
日本に常居所を有してる場合には、日本が適用されます。ただ、役所窓口の担当者が、両当事者において常居所が日本にあるか否かについて判断するのは困難です。 民事局長通達(平成元年10月2日)で基準が明らかにされています。〈基準〉

日本人については、1年以上日本に居住している場合。日本人と婚姻している外国人についても、同じく1年以上日本に居住している場合に日本に常居所を有してると判断されます。

離婚に伴う慰謝料

慰謝料の請求についても、離婚準拠法によることになります。では、離婚の相手が他の国籍であった場合に、慰謝料を支払う側はその国の貨幣 価値・物価などを考慮することができるのでしょうか?

【裁判例】
似たような裁判例があります。仙台高裁秋田支部平成8年1月29日の判決です。 中国籍の妻が日本人の夫と離婚して慰謝料の請求をした事案です(日本人と同じく 慰謝料の額が貰えるか否かが争点)。 第一審は、相手の国の貨幣価値、生活水準を考慮しました。 第二審(控訴審)は、相手の国の生活水準などを考慮するべきでないとしています 。

つまり、日本において婚姻生活が破綻して、日本で慰謝料請求がされている以 上は、中国の生活水準について考慮する必要はないと判断しています。

外国の離婚判決の効力

日本が外国人と結婚しても当然に日本国籍は失いません。配偶者の国籍・日本の国籍を取得します。日本は二重国籍を認めていません。二重国籍となった場合に は、2年以内に何れかの国籍を選択しなければなりません(国籍法14条)。

子供の親権問題、面接交渉権

夫婦2人の場合と異なり、未成年の子供がいる場合には親権者を決めなければなりません。 この点は、法の適用に関する通則法32条が規定しています。 子供の本国法と父又は母の本国法と同一であれば、子供の本国法 それ以外の場合は、子供の常居所地法によります。

面接交渉権とは、未成年者の親権者とならなかった親が、子供に会い、子供を訪ねる権利です。 この面接交渉権も通則法の32条により認められます。

慰謝料の問題

離婚の場合には、慰謝料・財産分与を請求することがほとんどです。 この場合には、如何なる法が適用されるのか問題となります。 この点について、最高裁は離婚に伴う慰謝料は離婚の準拠法による(昭和59.7 .20)としています。

財産分与についても離婚の準拠法によるとされます(横浜 地裁平成3.10.31) この慰謝料は離婚そのものに寄る場合です。配偶者の暴力等の不法行為による賠 償の意味をもつ慰謝料は、通則法17条が適用されます(神戸地裁平成6.2.22)。

内縁に関する問題

内縁とは、実体は正式な夫婦と同様な生活実態を有しているが、法律上の夫婦と認められない男女の結合です。婚姻に準ずる法律効果が与えられます。 従って、内縁の成立要件、効力について準拠法が問題となります。

要件としては、法の適用に関する通則法24条が適用されます。 成立について、各当事者の本国法(24条1項。東京地裁昭和46.3.12)。

内縁の解消については、通則法の27条(離婚に関する規定)が適用されます。27条は25条を準用しているので、実際は25条の規定に従うことになります。

内縁関係を一方的に破棄されれば慰謝料を請求することができます。 この場合の準拠法は、通則法17条(不法行為に関する規定)により、原因たる事実の発生した地の法律によるとされます(最高裁昭和36.12.27)。

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