社会医療法人
【社会医療法人とは 】
社会医療法人は、平成20年4月1日から実質的にスタートした新しい医療法人です。特別に新しい医療法人の形ではなく、医療法人の中で医療法の要件を満たしている場合に都道府県知事の認定を受けた法人です。具体的な認定要件については、医療法42条の2において定められています。
この社会医療法人には、救急医療・僻地医療など地域に必要な医療に積極的に参加させる事を目的としています。「救急医療等確保事業」を担う医療法人として位置づけられています。 社会医療法人は、財団の形式と持分のない社団の形式に限定されることになります。
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厚生労働省が示した趣旨は、次のとおりです。
高齢化の進行や医療技術の進歩、国民の意識の変化など、医療を取り巻く環境が大きく変わる中で、国民の医療に対する安心、信頼を確保し、質の高い医療サービスが適切に提供される医療提供体制の確立が求められている。
このため、先般の医療法改正においては、地域医療の重要な担い手である医療法人について、非営利性の徹底等の観点から各般の見直しを行うとともに、救急医療やへき地医療、周産期医療など特に地域で必要な医療の提供を担う医療法人を新たに社会医療法人として位置づけることにより、良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を図るものである。
▼ 社会医療法人の認定要件 ▼ 社会医療法人の特徴 ▼ 社会医療法人のメリット
▼ 社会医療法人のデメリット ▼ 結びにかえて
社会医療法人の認定要件
都道府県知事の認定を受け、社会医療法人となるにはいくつかのクリアする要件があります(医療法42条の2第1項1号〜7号)。
社会医療法人の特徴
社会医療法人においては、厚生労働大臣の定める収益事業を行うことができます。なお、この収益事業は医療法人の本来業務に支障の無い範囲において行うことが要求されます。 | |
税制上においても、公益法人とされることから法人税・地方税共に優遇措置が講じられます(収益事業は22%、医療保険業務は非課税)。 | |
社会医療法人債の発行が可能となります。これにより機動性のある資金調達が可能となります。なお、この社会医療法人債は社債とみなされ会社法が準用されます。 | |
附帯業務の拡大が可能となります。 |
詳細な認定要件・収益事業の範囲などはお問い合わせください。
社会医療法人のメリット
社会医療法人は収益事業を営む場合に限り法人税の納税義務が生ずるが、社会医療法人については収益事業の 34 種類の特掲事業の範囲から医療保健業(附帯業務を除く)法人税が課税されない。 | |
法人税は軽減税率(22%)を適用されます。 | |
収益事業から収益事業以外の事業への支出については、収益事業に係るみなし寄付金とされ、その寄付金の損金算入限度額は所得金額の 50%(当該金額が年 200 万円未満の場合は 200 万円)である。 | |
収益業務の実施が認められる(平成24年3月の通達に注意)。 | |
社会医療法人の附帯業務としては、第1種社会福祉事業(特別養護老人ホーム、養護老人ホーム、救護施設、更生施設及び経費老人ホーム(A 型、B 型)を除く)及び第 2 種社会福祉事業、有料老人ホーム、高齢者専用賃貸住宅などを行える。 | |
社会医療法人債を発行することがでる。 | |
持分を放棄する事になり、相続税の課税対象にならず、社員の退社に伴う持分の払い戻しや、社員の死亡に伴う持分への相続税課税を回避できることから、経営上の財務的リスクを軽減できる | |
平成 21 年度税制改正により、社会医療法人が所有し、かつ、経営する病院及び診療所について直接救急医療等確保事業の用に供する不動産に係る不動産取得税について非課税 | |
社会医療法人は、所得税法別表第一(公益法人等の表)に追加されることとなり、社会医療法人は利子等・配当等について所得税が課税されない。 |
社会医療法人のデメリット
認定の取消を受けた場合には、簿価純資産価額から利益積立金額を控除した金額が益金の額に算入されます。社会医療法人の医療保健業にかかる所得には法人税は課税されませんが、この課税されなかった所得の累計額は、益金の額に算入されます。社会医療法人の要件を満たさなくなった場合には、認定の取消を受け、巨額の納税が発生するリスクがある | |
社員、役員及び評議員に関して、同族関係者の比率を 3分の1以下にする必要がある。 | |
社員、評議員、理事、監事、使用人等に対し特別の利益を与えることができない。 | |
医療法第 30 条の 4 第2項第 5 号に規定される救急医療等確保事業を実施する。 | |
定款又は寄附行為において解散時の残余財産を国、地方公共団体又は他の社会医療法人に帰属する旨を定める必要がある(持分放棄)。 | |
社会医療法人債を発行している場合には、金融商品取引法の規制を受け、公認会計士又は監査法人の監査を受ける必要がある。 |
結びにかえて
社会医療法人は、特に透明性が要求されます。役員に関する人的要件、他の事項に関する要件について慎重に精査する必要があります。社会医療法人に関する通達も出されており、認定申請について個々の条件を1つ1つクリアする事がスタートです。申請まである程度の時間も掛り、専門家の助言が必須と言えます。
富山綜合法務事務所は、医療法人及び医療機関の皆様に対して、医療法に関する助言を多く行っています。手続きの専門家としてフルサポート致します。社会医療法人に関ンする事項のみならず、医療法全般に関する事項についてお気軽に御相談ください。
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