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外国人の年金受取問題

入管法が定める在留資格(27種類)を得て、在留する外国人の方の中で仕事をされている方(就労されている方)はたくさんいらっしゃいます。会社勤めなどの場合は、厚生年金に加入することになります。

この厚生年金は、一定期間納付しなければなりません。すなわち、法律の定める期間の納付がなければ厚生年金を貰うことはできません。日本に在留された外国人の方も例外でなく厚生年金保険法の定める期間の納付がなければ厚生年金を貰うことはできません。通常、外国人さんがこの厚生年金を貰える期間まで日本に在留することは稀です。

このように厚生年金保険法の定める期間の納付が無い場合でも一定の要件を満たせば、脱退一時金が貰えます。すなわち、納付した厚生年金保険料の払戻しが得られます。これが脱退一時金制度です。

▼ 脱退一時金請求するための要件 ▼ 脱退一時金の請求手続き 
▼ 年金加入期間の通算制度について

脱退一時金請求するための要件

脱退一時金を請求するには、厚生年金保険法の定める資格に該当している必要があります。具体的には、つぎのとおりです(厚生年金保険法附則29条)。

厚生年金の納付済み期間が6ヶ月以上ある
老齢基礎年金の受給資格を満たしていない外国人さん(日本国籍を有していない人)が、日本を離れて(帰国後)2年以内に請求すること
請求する時点で、日本国内に住所を有していない(既に出国していること)
障害厚生年金などの保険給付の受給権を有したことが無いなど

※個々の支払われる金額は、納付済み期間によって細かく規定されています。(厚生年金保険法附則29条3項)

脱退一時金の請求手続き

脱退一時金を請求するには、社会保険事務所などにある請求書を入手して出国後(帰国後)2年以内に社会保険業務センターに必要書類を添えて請求します。手続きが完了すると、支払われる金額を計算しして、それぞれの通貨に換算して指定口座に振り込まれます。注意点として、20%が所得税として引かれます。帰国する前に必要書類を入手することが大切です。

年金加入期間の通算制度について

脱退一時金制度とは別に、「年金加入期間の通算制度」があります。この「年金加入期間通算制度」は、日本で納付した期間と自国の年金加入期間について相互に通算し、年金受給権が得られる制度です。例えば、アメリカ人さんが日本で10年厚生年金を納付した後に、アメリカに帰国して年金を納付した場合に、日本で納付した期間はアメリカで納付した期間に通算されます。すなわち、日本で納付して期間は、アメリカで納付したことと同じになります。

ただし、すべての国でこの年金加入期間の通算制度が適用されません。現在、日本と相互に通算出来る国は、アメリカ・イギリス・ドイツ・韓国・カナダ・ベルギー・オランダ・チェコ・オーストラリアです。この国の方々は、年金加入期間の通算が認められます。

年金加入期間の通算制度は、脱退一時金制度と併用はできません。すなわち、脱退一時金を受け取った場合は、厚生年金の納付期間の通算はできなくなります。先ほどのアメリカ人さんの例で考えると日本で納付した10年間分の脱退一時金を請求した場合には、10年間の通算は認められません。脱退一時金を請求するのが良いのか、納付期間を通算した方が良いのか、じっくり考えることができます。より多く貰える方を選択することも十分に可能となります。

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